『終活』のお手伝い

終活を考える上でお金の問題は切っても切れない関係にあります。その中でも保険についての知識を持っておくことは重要です。終活において必要と思われる保険の内容について書いてみました。

保険の機能の中で、死亡保障(補償)の役割として死後の整理資金(葬儀費用・墓地や墓石の購入資金・負債の整理・事業の整理)、遺族の生活資金も補助(生活資金・子供の教育資金・家族の希望を実現したり、自身の想いを、家族に伝えたりする為の資金)、相続対策資金(相続税が発生すると予測される場合の、納税資金の確保・資金の分配に困難を生じると予測される場合の、代替資産の確保・事業承継)があります。

生存保障(補償)の役割として、老後の生活資金(年金保険をはじめとする、各種生存保険による、貯蓄や投資・保険の貯蓄機能を利用し、生活資金のみならず、介護、医療のリスクにも、ある程度備えることができる。介護資金(介護特約を、主契約に付加することにより、保険約款に記載の介護状態に至った場合に、給付を受ける)があります。

医療保障(補償)の役割として、治療や入院に伴い発生する、各種費用の補てん、がん保険や三大疾病、女性特有の疾病による入院、手術、通院の為の資金があります。

保険の分類には、生命保険と損害保険があり生命保険は保険の対象が人で支払い方法は定額払いとなり商品には、終身保険、定期保険、養老保険があります。損害保険は保険の対象が物で支払い方法は実損払いとなり商品は、自動車保険、火災保険があります。
人や物の区別ができないor両者で販売している傷害保険、介護保険、年金保険、医療保険、がん保険、特定疾病保険、高度先進医療特約、女性疾病特約、賠償責任保険などがあります。

保険業法上の分類は、第一分野(生命保険固有分野)が終身保険、定期保険、養老保険、年金保険であり、第二分野(損害保険固有分野)が自動車保険、火災保険であり、
第三分野が医療保険、傷害保険、がん保険、特定疾病保険、介護保険である。

その他の分類は、生命保険、損害保険、少額短期保険(取扱う保険金額が「少額」であること、保険期間が「短期」である保険)、JA共済(全国共済農業協同組合連合会)、全労済(消費者協同組合)、県民共済(消費者共同組合)、COOP共済(消費者協同組合)、小規模企業共済(個人事業をやめたり、会社の役員を退職したりした場合に備える積立制度)、かんぽ生命保険があります。

保険をどこで加入するには、各保険会社に問合せ、担当者と面談する。あるいは資料と申込用紙を送付してもらい加入するか、代理店からの加入。特定1社の保険代理店と、複数社を取扱う「乗合代理店」があるか、勤務する会社の関連会社が代理店として、保険を販売している場合も多いです。ファイナンシャルプランナーや税理士等で、代理店資格を保有する人か、保険ショップ。こちらも特定1社の場合と、複数社を取扱う場合があります。通信販売、TVショッピング、カタログ通販、ネット通販等、様々であります。銀行や証券会社の窓口(これも実は代理店である)もあります。

(参考)主な保険用語
保険契約者は、保険会社と保険契約を結び、保険契約上の様々な権利(契約内容変更の請求等の権利)と義務(保険料払込の義務)を持つ人のこと
被保険者は保険契約の対象となる人をいいます
保険金、給付金は、保険事故(死亡、入院等)により、保険会社から支払われるお金のことをいいます。又、年金保険等(生存保険)の場合は、満期時に保険会社から支払われるお金のことをいいます
保険期間は、保険契約が有効な期間のことをいいます
保障は、責任をもって、一定の地位や状態を守ること。ささえ防ぐこと。生保は「相互扶助」という理念が、根底にあります。一定の状態を守ることを、保険料を支払うことによって、保険会社に代わりにやってもらう、ということになります
補償は、損失などを埋め合わせること。損保はこちらの考え方です。誰かの責任を代わりに実行するのではなく、生じた損害を補てんする、という考え方です。従って、「実損払い」が基本になります
保証は、保険ではなく、金融全般の用語として、「債務者が債務を履行しない場合、これに代わって、債務を履行するという、義務を負うこと」という意味で使います
定額払いは、契約時に定めた通りの金額を支払うこと
実損払いは、契約時に定めた金額を上限とし、生じた損害を金額に換算して、その分のみを支払います
死亡保険は、保険の対象となる人が、死亡した時に、保険金を支払います。定期保険等
生存保険は、あらかじめ決めた期日まで、被保険者が生存した場合に、保険金を支払います
生死混合保険は、死亡保険と、生存保険を組み合わせた保険です。代表的なものは養老保険

主な保険の種類
1.生命保険
終身保険は、死亡保障が、一生涯継続します。通常2年目以降に解約をする場合、解約返戻金が生じます。この返戻金を利用して、医療や介護を備えることも、契約額によっては、可能となる場合があります。保険料を株式や債券に分散投資し、保障額と解約返戻金を、それらの時価に応じて、増減させる仕組みの、変額保険終身型もあります。又、保険料払込期間満了以降の、返戻金を大きくし、払込期間中の返戻金を、低く抑える商品等もあります
定期保険は、保障期間が限られています。1年、5年、10年等の短期のもの、90歳や100歳というように長期なものと、バリエーションは様々です。最初の保障額から、毎年一定の金額を減じていく、逓減定期保険などもあります。又、保険金を毎年の分割で支払う、家族収入保障保険等も、定期保険の派生商品です。保障内容について、死亡原因を事故や災害に絞り、死亡が発生しなくても、一定傷害状態によって、給付金を支払うものを、「傷害特約」といい、これらも定期保険の派生商品といえます。解約返戻金は、保障期間満了時にはありません。保険期間中に、ごくわずかの返戻金がある商品と、保険数理計算上、全く無いものとして、保険料を低く抑えた商品があります
養老保険は、一定の死亡保障が、約束の期間まで継続し、その期間が到来すると、死亡保障と同額の、満期保険金が支払われます。満期を待たずに、予め定められた時期に、一部の返戻金を支払う保険として、代表的なものが、学資保険をはじめとする、各種の生前給付特約付き保険。これらは、養老保険からの派生商品と言えます。保険料を、株式や債券に分散投資し、保障額と解約返戻金を、それらの時価に応じて増減させる仕組みの、変額保険有期型もあります
年金保険は、契約上の満了日までに、保険料を支払い、満了後に分割で年金として、保険金の給付を受けます。受取期間は、確定期間や終身受取等様々です。保険料を投資によって運用する、投資型年金もあります。確定初出型企業年金は、この変額個人年金がベース商品となっています

第3分野の保険
医療保険は、病気や傷害による、入院や手術等が生じた場合に、予め契約で定めた給付金を支払います。一生涯保障する終身型と、期間が定められた定期型があります。定期型の場合、加入可能年齢の直前まで、契約を更新して、保障を継続できます
がん保険は、がんによる入院や手術が生じた場合に、予め契約で定めた給付金を支払います。これも終身型と定期型があります。通常加入後は、待機期間が有り、加入後90日間は免責となります
介護保険は、保険約款記載の、一定の介護状態になった場合に、保険金が支払われます。公的介護状態に連動した条件を、採用する商品と、独自の基準で支払う商品があります
傷害保険は、傷害による死亡、高度障害、入院、通院等を補償する保険です。賠償責任保険特約や携行品補償特約、家族特約、食中毒による入院等の補償等の特約が多く。バリエーションは様々。ゴルファー保険、旅行傷害保険等も、傷害保険の派生商品と言えます。クレジットカードに、この分野の商品が付属していたり、就学中の子供がいる家庭では、入学時にこうした保険に加入しているケースもあり、気付かないうちに、補償が重複していることも多いです

第2分野の保険と、その他の保険、共済
自動車保険、火災保険、共済、少額短期保険、ペット保険 等

その他特殊な保険
団体信用生命保険は、住宅ローン返済中に、被保険者が死亡した場合、住宅ローンのその時点での残債を、完済する為の保険です。住宅ローンが連帯債務になっている場合には、被保険者が誰になっているのか?の確認が必要です。
団体や集団専用の保険は、生命保険数理の法則で、例えば同じ会社の20歳から65歳まで、というような、ある一定の条件付をすると、死亡率やリスクが減少する場合があります。この特性を利用して、団体専用の商品を開発したり、保険料そのものを、安くしたりする場合があります。注意点は、加入した後に、退職をした場合の取扱いについて。後に退職をした場合には、通常は一般料率が適用となり、保険料が高くなるという点です。

生命保険の税法上の取扱い(保険金、給付金)
1.保険金を受け取った場合は、「所得税」「相続税」「贈与税」のうち、いずれかの税の課税対象とされる。誰が保険料を負担し、誰が保険金を受け取ったか、又、誰が被保険者であったのかによって、次のようになります。

保険金 契約者 被保険者 保険金受取人 対象となる税金の種類
死亡保険金 相続人 相続税(保険金非課税枠有)
死亡保険金 相続人以外 相続税(保険金非課税枠無)
死亡保険金 妻・子 所得税(一時取得)
死亡保険金 贈与税
満期保険金 所得税(一時取得)
年金 所得税(一時取得)
満期保険金 妻・子 贈与税
年金 妻・子 贈与税

(※夫を契約者として、代表的な契約形態を、記載しています)
2.高度障害保険金、傷害給付金、入院給付金等は、その支払いを受けたものが、被保険者、又は、その配偶者や直系血族、あるいは生計を一にする、その他の親族であるときは、「非課税」となる。