⑦給料や遺族年金、雇用保険との調整は?
会社に勤務していながらも、老齢年金をもらうことができる人がいます。又、公的年金には、老齢以外に、遺族、障害という種類が有ります。
以前は、一人一年金の選択でしたが、今は遺族年金については、併給することもできるようになりました。そして、定年後に年金をもらう人と、雇用保険の失業(基本)手当を受給する人とがいます。
1. 給料との調整~在職老齢年金~
在職老齢年金とは、「60歳以降、会社勤めをしながら受給している厚生年金」のことを指します。
お勤めとはいっても、例えば私立大学職員等、厚生年金とは違う保険に加入して働く場合は、厚生年金はそのまま支給されますので、在職老齢年金にはなりません。
在職老齢年金の受給者は、給料(総報酬月額相当額)と、年金額(基本年金月額)により、以下に分けられます。
①厚生年金を全額もらえる人
②厚生年金はもらえるが、減額される人
③厚生年金をもらえない人
2. 総報酬月額相当額
総報酬月額相当額とは、60歳になった翌月の、標準報酬月額と、その年にもらったボーナスの金額から計算します。
基本年金月額とは、受け取れる年金額を、12で割った金額のことです。
在職老齢年金には、基準額があり、28万円、46万円と決められています。
●65歳未満の在職老齢年金の場合
・総報酬月額相当額+基本年金月額が28万円未満
⇒年金額(基本年金月額)は全額支給
・総報酬月額相当額+基本年金月額が28万円以上
⇒年金額(基本年金月額)は減額支給。又は支給停止。
尚、在職老齢年金は厚生年金なので、60歳から老齢基礎年金を繰り上げてもら
っていても、調整は有りません。
●65歳以上の在職老齢年金の場合
・総報酬月額相当額+基本年金月額が46万円未満
⇒年金額(基本年金月額)は全額支給
・総報酬月額相当額+基本年金月額が46万円以上
⇒年金額(基本年金月額)は減給支給。又は支給停止。
老齢基礎年金は、全額支給されます。
3. その他の年金との併給~遺族年金の場合~
例えば、厚生年金を受給中の夫が亡くなった場合の、妻の年金を考えてみましょう。
この場合、妻のA子さんに「遺族厚生年金」が支給されます。
支給額は、夫の老齢厚生年金(報酬比例の部分の年金)の4分の3に相当する額です。
この後、A子さんが65歳になった時、この遺族厚生年金と、A子さんの老齢厚生年金を比べてみます。
おそらく、遺族年金の方が高いので、この場合、まずA子さんの老齢厚生年金は支給され、夫の遺族厚生年金はその分だけ減額されます。
つまり、A子さんの年金額は減額されずに、ただその内訳が変わったことになります。
当然、老齢基礎年金は、全額受給できることになります。
4. 雇用保険との調整~失業保険~
60歳で定年退職後、ハローワークに求職の申し込みを行い、求職活動を開始するとします。
雇用保険からは、基本手当(失業給付)が支給されます。
この場合、失業給付をもらっている間は、特別支給の老齢厚生年金は支給されません。
65歳までの老齢厚生年金と比較した場合、失業給付の方が、金額は高い場合が多いので、失業給付が支給される、90日から150日の間は、求職活動を行う方が良いと思われます。その後就職が決まれば、前述の在職老齢年金に繋がります。
失業給付が終了すれば、届出により、老齢年金の支給が再開されます。
終活を考える上で年金について考えておくことは大変重要です。