⑥ねんきん定期便とは
平成19年7月の参議院選選挙の最大の争点は、年金問題でした。
旧社会保険庁のすさんな記録管理によって、約5,095万件もの未統合記録が有ることが判明しました。
その後政府は、国家プロジェクトとして、この「宙に浮いた年金記録」の解決に取り組むことを約束。
政権交代、社会保険庁の解体を挟みながら、年金記録の照合を進めています。
その結果、皆さんのお手元にも、「ねんきん特別便」「ねんきん定期便」が届いたことと思います。
1. ねんきん特別便とは
旧社会保険庁は、平成19年12月~平成20年10月までを目途に、全ての年金受給者と加入者に、年金記録をお知らせする、「ねんきん特別便」の発送を開始、国民に自分自身の記録についての確認を行うように、通知しました。
「ねんきん特別便」には、自身のものであると確定している、年金記録が古いものから順に、記載されていました。
一方で、自身のものである可能性が高いとされる、年金記録でも、確定していないものは、記載されていませんでした。
(1)最初の加入記録が記載されている前の期間→記載されている年金記録よりも、前の空白期間に、年金に加入していたことはありませんか?
(2)加入記録と加入記録の間の期間→加入記録と加入記録の間に、空白の期間は有りませんか?
(3)最後の加入記録が記載されている、後の期間→記載されている年金記録よりも後の空白期間に、年金に加入していたことは有りませんか?
特に、平成20年3月までに届いた、「ねんきん特別便」には注意が必要、ということでした。
そこで、平成21年4月以降、「ねんきん定期便」の出番となりました。
その後、平成24年12月時点で、約2,895万件の年金記録が統合されたのですが、今なお約2,108万件の年金記録が、解明作業中、又はなお解明を要する記録とされています。
「ねんきん定期便」とは、日本年金機構(旧社会保険庁)が、国民年金・厚生年金の加入者の誕生月に、毎年郵送する、年金の加入状況等を記載し書類のことをいいます。
これまでに納付した保険料額や、これに基づく年金の見込み額等が、記載されています。
2. ねんきん定期便の内容
ねんきん定期便は、その年齢によって、送付される内容が異なっており、現在は以下のようになっています。
●節目年齢時(35歳、45歳、58歳)の方々
下記(1)~(6)の記録を更新してお知らせします。
●節目年齢時以外の方々
下記(1)~(3)について、記録を更新してお知らせします。
下記(5)及び(6)については、直近1年分をお知らせします。
(1)年金加入期間
(2)年金見込額
ア, 50歳未満の方⇒加入実績に応じた、年金見込額
イ. 50歳以上の方⇒「ねんきん定期便」作成時点の加入制度に、引き続き加入した場合の、将来の年金見込額
※既に年金受給中(全額停止も含む)の方には、年金見込額はお知らせしていません。
(3)保険料の納付額
(4)年金加入履歴
(5)厚生年金の全ての期間の、月毎の標準報酬月額・賞与額、保険料納付額
(6)国民年金の全ての期間の、月毎の保険料納付状況
この内、特に以下について、御確認下さい。
●年金加入期間
厚生年金の事業所と加入月数、国民年金に加入した加入月数が、記録されています。
●厚生年金の全ての期間の、月毎の標準報酬月額・賞与額、保険料納付額
厚生年金の加入者には、「標準報酬月額と保険料納付額の月別状況」を表にまとめた表が、作られています。ここでも例えば、標準報酬の金額が、不自然に下がったりしていないか、確認をしてください。
事業主による、改ざんの可能性も有ります。
但し、節目年齢時(35歳、45歳、58歳)以外の方は、直近1年分しか記載が有りませんので、これまでの履歴を知りたいは、年金事務所で一度ご確認して頂くことを、お勧めします。
●国民年金の全ての期間の、月毎の保険料納付状況
「ねんきん定期便」では、国民年金の加入者や、今は厚生年金の加入者だが、国民年金の加入記録も有る人に、「これまでかけた国民年金の保険料納付状況」を表にまとめてあります。
特に第3号被保険者の期間の保険料について、届出が出されてある時は「3号」、届出がされないと「未納」となっていますので、必ず確認してください。
但し、節目年齢時(35歳、45歳、58歳)以外の方は、直近1年分しか記載がありませんので、これまでの履歴を知りたい方は、年金事務所で一度ご確認して頂くことを、お勧めします。
【ねんきんネット】
http://www.nenkin.go.jp/n/www/n_net/
上記のURLは、ねんきん定期便と併せて、年金加入記録の紹介や、年金見込額の試算等ができる、インターネットサイトです。
ご利用には、ユーザーIDが必要となりますが、平成23年4月以降に送付された、「ねんきん定期便」に記載されている、アクセスキーを入力すれば、即時にご自身の年金額の確認が可能です。
この「ねんきんネット」の最大の特徴は、平成25年1月28日にスタートした、「持ち主不明記録検索」ではないでしょうか。
「宙に浮いた年金」の記録を、ご自身で確認して頂くことも可能です。
「ねんきん定期便」「ねんきんネット」で、おかしいな、と思ったご自身の記録が有れば、一度検索してみることをお勧めします。
終活と年金を同時に考えていくことで金銭面でも安心して生活していくことができうと思います。