「墓友」とう言葉は、以前は全くと言って良い程、耳にしない言葉でしたが、各メディアやインターネット等で、取り上げられる事も多くなり、近年急速に認知が進んできたものと思われます。
「墓友(はかとも)」とは「お墓友達」の略で、将来的に同じお墓(霊園墓地、共同墓、永代供養墓、合祀墓、樹木葬(樹林)墓地等)に入る人達(友人、知人同士、又は、同じ墓を契約した他人同士等)のコミュニティー(グループ、サークル等)を指す、近年認知が進んできた、「終活」に関係する言葉です。将来同じお墓で、一緒に永眠するので、少しでも墓友(一緒に入る相手)の事を知っておき、親睦を深めようと、生前に各お墓の契約を済ませ、その契約者同士で、定期的なお茶会や、終活の勉強会。
ゴルフ、ボーリング、テニス、社交ダンス、囲碁、将棋、麻雀、句会、書道、茶道、旅行等の、趣味の分野でのサークル活動等を行って、お互いの理解に努め、親睦と絆を深めている、墓友サークルも有ります。同じお墓に入る事を決めた、墓友同士は、死生観、宗教観、価値観、人生観、境遇等が似ている事も有る為か、意気投合するまでの時間が短く、深い友人、仲間、同志としてのお付き合いをされる方も、少なくないようです。最近では、宗教法人や自治体の他にも、高齢者向け住宅、老人ホーム、NPO法人等が、墓友を募り、共同墓等を設置、運営するケースも増えてきております。
墓友が話題に上がる背景には、急速に進行している、少子高齢化、核家族化、無縁社会化、孤独老人の増加、生涯未婚率の増加等、我が国が抱える社会問題の存在が有ります。近年では、大家族に囲まれて、老後を過ごす人が減少し、独居高齢者の増加。お墓を継承する子供世代が、少子化の影響で減少し、お墓を継承する人がいない家庭が増えてきております。
結婚していても子供がいない、子供は女性だけ。男性の子供はいても、遠方にいて墓守りできない。お墓の継承を放棄された。墓守りしてくれる人はいるが、負担をかけたく無いので、自分の事は自分で完結したい、等の理由から、墓友が注目されてきているのだと思われます。
闘病の末2015年9月24日に、54歳の若さでこの世を去った、女優の川島なお美さんは、死生観に興味が有り、俳優の奥田瑛二さんをはじめとする「墓友」を、生前に何人も持っていたことが、メディア等で取り上げられたことが、「墓友」という言葉と存在が、世間により広まるきっかけになったと思います。この墓友ネットワーク(グループ)は、元麻布の賢崇寺に墓を持っていた、政治家の与謝野馨氏が、友人で経営コンサルタントの堀紘一氏へ、同所の墓地の一画を、勧めた事がきっかけとなり、その後人が人を呼び、与謝野馨氏、堀紘一氏、森本敏氏、三枝成彰氏、安藤和津氏、奥田瑛二氏、川島なお美さんの7名は「墓友」として、同所の墓地の一画に、墓を買っているそうです。
川島なお美さんには、奥田瑛二氏が、ここ賢崇寺のお墓を勧め、この墓友に加わったそうです。この墓友7名で、各々の死生観を綴った、「私の死生観」(KADOKAWA 角川書店)という本も出版されています。この墓友メンバーは、生前より賢崇寺で集ったり、会食をしたり等、親交を深めているそうです。
今後は、年に一度はお墓に集まり、一緒にお墓参りをして、近所の蕎麦屋で宴を行う等し、自分たちの死後も、墓友の子供や、友人知人等の縁者が、お墓参りのついでに、飲みに来られるような環境が理想だということです。
杉並木墓苑でも、御兄弟やお身内同士は勿論のこと、友人知人や、仲が良い御近所さん同士で等、一緒にお隣同士に、お墓を買われる方が、大勢いらっしゃいます。同じ墓地に、お墓を求めたご縁で、公私共に親交を深められている方も、大勢いらっしゃいます。