近年、日本国内において、少子高齢化や核家族化が、急速に進み、大きな社会問題となっている中、1947~1949年生まれの、第一次ベビーブーム(いわゆる「団塊の世代」)の人達が、それぞれ年齢を重ね、高齢者となったことも有り、自分達が元気で動ける内に、人生の終焉を迎える為の準備を、自分達で積極的に行う活動『終活』([Wikipedia]では、「終活(しゅうかつ)とは「人生の終わりのための活動」の略。人間が自らの死を意識して、人生の最期を迎えるための様々な準備や、そこに向けた人生の総括を意味する言葉である。」と定義、又、[一般社団法人 終活カウンセラー協会]では、「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」と定義)を、積極的に行う人が、大変増えてきております。
又、近年では、高齢者だけではなく、より若い世代の人達も巻き込み、積極的に『終活』を行う人が、益々増加しております。その様な状況も有り、若くて元気な内から、自分達の為の「お墓さがし」をする人も、同じく増加してきております。その様な状況の中、従来と同様に、御影石製の墓石を建立して、代々継承される人も、勿論多くいらっしゃいますが、「お墓を守ってくれる、継承者(墓守)がいない」「お墓を建てても、後を守り継いでくれる、子どもや孫がいないので、将来無縁墓になってしまう可能性が高く、墓石は建てられない」「子供はいるが、経済的にも精神的にも、負担や迷惑をかけたくない」「自分達のことは自分達で完結させたい」「永代供養付きのお墓で安心したい」「墓石にお金をかけたくない」「無宗教主義者の為、特に墓石は必要としない」「従来の価値観やしきたり等に縛られたくない」「自然(土)に還りたい」「自然葬がよい」等々の理由から、墓石を建立して、代々継承していく、従来型のお墓ではなく、お墓の継承者(墓守)や、墓石の建立が不要なタイプのお墓や葬送方式が、近年注目を集めており、永代供養付きの樹木葬にも、益々注目が集まっております。
樹木葬は、近年、「終活」の盛り上がりも手伝って、皆様もどこかで一度位は、『樹木葬』という言葉を目にしたり、耳にしたりしたことが、有るのではないでしょうか?
墓石を建立する必要が無く、遺骨を骨壺(骨甕)のまま、納骨スペース(お墓の納骨室「カロート」や納骨堂等の納骨施設)に納骨(埋蔵、収蔵)する、葬送方式とは異なる為、広義では「自然葬」の一種、派生型とも扱われている『樹木葬』。お墓の納骨室(カロート)や納骨堂等の納骨施設に、納骨(埋蔵、収蔵)するのではなく、山中や林野等の土中、地中、地面等に、お骨もしくは遺体を埋蔵、埋葬する葬送方式(いわゆる「自然葬」方式)は、古くから行われてきました。
又、近年においては、少子高齢化や核家族化が、急速に進む中、「家制度の形骸化」や「お墓の継承者(墓守)問題」の顕在化。更に価値観、宗教観、死生観、葬送方法の多様化や変化、インターネットの普及による情報収集力の飛躍的な向上、そして「自然回帰」志向の高まりも相まって、多くの注目を集め、認知度も急速に高まってきております。日本国内で、初めて行われた『樹木葬』は、1999年から分譲が開始された、岩手県一関市の祥雲寺(現/知勝院)であると言われております。同寺の樹木葬は、自然の里山を利用し、山林内の土地の一定面積を、墓地として使用するという、いわゆる「里山型」の樹木葬で、墓石(墓碑)の代わりにもなっている、花木の根元に穴を掘り、遺骨を埋葬する方式をとっています。
お墓や遺骨の継承者が不要で、里山(自然)に遺骨を埋葬するという、同寺の樹木葬は、お墓の継承問題の、新たな解決法の選択肢として、又、自然回帰志向にも、イメージが近いこと等の理由から、当時は日本全国より、大きな注目を集め、首都圏エリアからも、多くの見学者が訪れました。現在樹木葬は、飛躍的に認知度と需要が高まり、全国各地に、実に様々なタイプの樹木葬が、数多く存在していますが、同寺の樹木葬が、その先駆け的な存在であったと言えるでしょう。
2004年には、北海道長沼町のある散骨型の樹木葬(散骨場)で、地域住民の反対運動が起こりました。この樹木葬(散骨場)は、墓地として正式に許認可を受け、関連法令(「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)」「条例」「刑法」等)に則り、適正に埋葬される樹木葬とは異なり、里山に遺骨を散布(散骨)する方式を取っていた為、農作物の風評被害等を懸念した地域住民が、散骨の反対運動を起こし、それを受けた地元の町議会が、山林への散骨を禁止する条例を制定するに至り、その後道内の他市町や他県でも、同様の条例が制定されることとなりました。
日本国内で、遺骨を埋葬(埋蔵)するには、管轄役所より「墓地」として正式に許可を受けた場所へ、関連法令(「墓地、埋葬等に関する法律(昭和23年5月31日法律第48号)」「条例」「刑法」等)に則り、適正に行わなければなりません。正式に許認可を受けた上で、関連法令を遵守することは勿論ですが、その性質上、その土地の地主や隣接地の地主は勿論、近隣住民や地域の理解や協力を得ることが、地域社会に貢献し、永続的に安定した運営をしていく上で、大変重要です。その後、2006年には、横浜市営墓地メモリアルグリーンに、公営霊園初の樹木葬が設置されました。
更に2012年には、東京都立小平霊園にも、樹木葬(樹林型合葬埋蔵施設)が設置され、分譲を開始しましたが、初年度の応募倍率は、なんと16.3倍にもなり、各メディアにも取り上げられる程、大きな話題となり、樹木葬の人気の高さが、広く世間に認知されることとなりました。尚、東京都立小平霊園の樹木葬(樹林型合葬埋蔵施設)は、その後も人気が高く、毎年応募倍率が高い状態が続いております。令和2年度の公募受付状況は、719体の募集数に対して、受付数は10,337体と、倍率は14.4倍(前年は15.7倍)にも達しております。
又、種別を「生前申込区分」に限ってみると、「遺骨(1体)」の場合⇒募集数41体に対して、受付数は1,240体と、倍率は30.2倍(前年32.8倍)。
「遺骨(2体)」の場合⇒募集数152体に対して、受付数は4,616体と、倍率は30.4倍(前年32.9倍)もの、高倍率となっており、応募資格を満たして、応募はしたものの、ほとんどの応募者が、複数回抽選から漏れ、落選されているのが現状です。
又、近年では、「お墓の継承者(墓守)がいない」「子供はいるが、負担や迷惑をかけたくない」「お墓が遠方の為、なかなか墓参に行けない」「お墓の管理が大変、困難」「菩提寺のお寺との関係が良くない」等々の理由から、今あるお墓を「墓じまい」して、遺骨を永代供養付きの樹木葬へ改葬する方も、年々増加してきており、益々需要は高まるものと予測されております。